【公式】恵蘇八幡宮~朝倉地域の総社~

境内

境内

略記

斉明天皇、天智天皇に関わる関守の墓・漏刻(水時計)・御神木の大楠(県指定)があります。更に周辺には隠れ家森(国指定大楠)や水神社の大楠(県指定)など大木が見られます。また、国道を挟んで山田堰・堀川用水・三連水車を守る水神社が鎮座しています。

天智天皇と漏刻

漏刻

漏刻

天智天皇:里中満智子画

天智天皇:里中満智子画

「百人一首」の聖地として天智天皇を祀る滋賀県大津市の近江神宮では、その業績のひとつとして境内には漏刻が奉納されています。恵蘇八幡宮にも、それと同様に漏刻が奉納されています。

天智天皇10年4月25日(ユリウス暦671年6月10日)天智天皇は水時計の漏刻を作り「時刻」を人々に知らせたと伝えられています。実物は分かっていませんが、中国で用いられた漏刻の形式を模倣したものと考えられています。

この漏刻は、4個の桶を段違いにならべたもので、第1番目を夜天地、第2を日天地、第3を平壺、第4を万水壺といい、万水壺の中には矢が立てられています。第1の壺に水を注ぐと、水は管を通って順番に一番下の壺である万水壺へと流れ込み、万水壺に水が溜まるにつれて、矢が浮き上がるようになり、矢に記された目盛りを読み取ることで時刻を知る仕組みとなっています。

現在、恵蘇八幡宮では6月10日(時の記念日)を記念して、毎年同日に式典が催されています。

『日本書記』巻第二十六 斉明天皇

齋明天皇六年夏五月辛丑~(略)~ 又、皇太子初造漏剋、使民知時。


斉明天皇六年夏五月の辛丑~(略)~ 又、皇太子、初めて漏剋を造る。民をして時を知らしむ。

『日本書記』巻第二十七 天智天皇

天智天皇十年夏四月丁卯朔辛卯、置漏剋於新臺。始打候時。動鍾鼓。始用漏剋。此漏剋者、天皇爲皇太子時、始親所製造也、云々。


天智天皇十年夏四月の丁卯の朔辛卯に、漏剋を新しき台に置く。始めて候時を打つ。鍾鼓を動す。始めて漏剋を用ゐる。此の漏剋は、天皇の、皇太子に為す時に、始めて親ら製造れる所なりと、云々。

摂社・末社

天満宮

恵蘇宿天満宮

社殿向かって右手に鎮座する天満宮は、御祭神として菅原道真公をお祀りしています。太宰府との所縁も深い菅原道真公は、学問の神様として崇敬されています。

愛宕社

愛宕社

社殿の向かって左、西側に鎮座。御祭神として伊弉冉尊、迦倶槌神、雷神などを祀っています。火伏せの御神徳が厚いとされています。

太刀八幡宮

太刀八幡

昭和56年1月、山田堰改修工事中に堰の上流の水底から発掘されたものを石碑として祀っています。

神明社・金毘羅社

神明社・金毘羅社

御陵山への参道右手に鎮座。向かって左手の神明社は伊勢神宮・皇大神宮の天照大御神、豊受大神宮の豊受大御神を祀っています。石祠の金毘羅社は、大物主神を祀っています。

賽の神

賽の神

関守の墓の隣に鎮座。村や部落などの「境」を司る神で、他からの侵入や邪悪なものを防ぐ御神徳があるとされています。道祖神としても広く知られています。

猿田彦大神

猿田彦大神

当地は恵蘇宿(朝倉関)としても知られる交通の要衝でした。猿田彦大神は「みちひらきの大神」として崇敬され、旅の安全の御神徳厚い神として祀られています。

水神社

水神社

御祭神として水波能売命、古賀百工を祀っています。享保7年(1722年)山田堰から堀川用水に水を通すため切貫水門工事を起こすにあたり、工事の安全と水難消除を祈り、水波能売命を祭祀し水門の上に水神社を建立。寛政10年(1798年)堀川用水を築いた古賀百工の功績を称え合わせて祀っています。現在も山田堰・堀川・水車群・堀川用水路の守護神です。

水神社の前にある山田堰は中村哲氏が、アフガニスタンに築かれた取水堰のモデルとなった堰です。また、境内には天智天皇が月見をされたと伝えられている「月見の石」や古賀百工の顕彰碑があります。

祭礼日

  • ・5月15日 例大祭
  • ・6月17日 堀川通水式

木の丸公園

水神社

斉明天皇が崩御され、後の天智天皇が喪に服された御陵を中心に整備された公園。ターザンロープなどの子どもが楽しめる遊具もあります。筑後川や山田堰をバックに咲く桜や咲き乱れる桜の中に埴輪のレプリカがある面白い風景も見ることができます。

関守の墓

関守の墓

参道入口右手の石塔は、斉明天皇が朝倉橘広庭宮に遷居した際、東の守りである「朝倉の関」で努めた関守の墓所と伝えられています。銘はありませんが柱状の自然石を加工した石造物で、「関守の墓」と呼ばれています。

御神木:クスノキ

境内の御神木は県指定天然記念物です。推定樹齢300年以上。昭和38年(1963)1月16日指定。樹高32m。胸高周囲9m。

水神社境内にそびえる大楠も県指定天然記念物で、昭和38年(1963)1月16日指定。樹高21m。胸高周囲8.2m。クスは社殿を覆い隠すように生えています。

「隠れ家森」の大楠は、国指定天然記念物です。昭和9年(1934)12月28日指定。胸高周囲18m、樹齢は1500年以上とも言われています。『筑前国続風土記』に「此の恵蘇町の辺に隠家の森とてあり。是は此関にて名のらざりし者をば通さざりける故、此森に隠れゐるよしいひ伝えたり」とあり、朝倉の関所を通れぬ人が、夜になるのを隠れて待っていたとの伝説から、この名が付いたとされています。